笑う男行ってきましたレポ③ネタバレあり

ここからは本編の話なのでネタバレ一切配慮してません!

すみませんが自衛してください。

 

ラストキスが終わったとき、ぼんやりまた近いうちに舞台に立ってくれるといいなあと思っていて、それがまさかこんなに早く実現するとは正直思っていませんでした。

これはもう本当にスホさんの努力の賜物ですよね。いくらファンが望んでも本人の実力が伴わないとどうしようもないし…。私にはよくわからないですけど、いろんな会社の偉い人たちが、またキム・ジュンミョンを使おう!て思ったってことじゃないですか。それってすごいですよね。本当に誇らしい。

 

原作はかの有名なヴィクトル・ユゴー。「笑う男」自体は過去に何度か映画化、舞台化されたことがあるようですが、EMKのミュージカルは世界初演ということでした(詳しくは各自ググってください)。

幼いころに誘拐され、口を醜く引き裂かれたグインプレン。激しい吹雪の中に捨てられた彼は、凍死した女性に抱かれる盲目の赤ん坊と出会い、デアと名付けます。行商人ウルシュスは雪のなかで彼らに出会い、異形の口の少年と盲目の赤ん坊を引き取ることに。15年後、彼らは劇団を立ち上げ、グインプレンと美しく成長したデアの演じるラブストーリーは、旅する先々で人気を博していました。その人気は女王の異母妹であるジョシアナですら魅了してしまうほど。ある日、監獄に連れて来られたグインプレンは、そこで自身の出生にまつわる事実を知らされます。それは、彼が貴族の正式な嫡男であるという衝撃的なものでした。

 

舞台は17世紀ごろのイギリスで、そのころの貴族の庭園や行商人の小さな荷車が、韓国のステージ上に再現されるのがすっごい!とにかくセットがすごいんですよ。上から降りてくるランプとか、川が現れるのとか。単純に、お金がかかってるんだろうな~!と思わせてくれるの、とても気分が良い。ガーデンパーティーの場面では気づくと豪華なテーブルが出てくるし。ウルシュスの荷車、まさか中開くとは思わなくて、えっ開くの~!?!?嘘やん!?と思った。

大人グインプレンが登場するの結構遅くて、まず子供時代、上流階級の様子、旅芸人たちのステージ、でやっとスホさん登場なんですけど、この間まったく飽きない。ウルシュス率いる芸人たちのステージを、私たち観客が疑似体験する、その二重構造に開始20分で痺れました。変わり者ばかりの旅団てそれグレイテスト・ショーマンじゃん。本当すごいんですよ。熊の着ぐるみが玉乗りとかしてるし。最初人形か、何か仕掛けがあるのかと思ってたら本当に玉乗りしてるんです。変なところで妙に感動してしまった。

 

スホさんの登場シーン、もう正直あんまり記憶に残ってないんですが、とりあえず美しさがすごかった。美。グインプレン、口が裂けた醜い男という設定なのにまったく醜くないし、逆にそのアンバランスさが妖しい魅力醸し出しちゃってるし、ど~してくれんの!?その場にいた観客みんな息をのんでました。呼吸することを忘れる。そりゃジョシアナも魅了されますね。

グインプレン、最初にあらすじを読んだときはもっと悲壮感ある役だと思ってたんですよ。幼いころに口を裂かれて、捨てられて…トラウマでも抱えてなきゃおかしいでしょ、と思ってたんですが、意外と明るい。これがめちゃくちゃよかった。無邪気というか天真爛漫というか。つらく悲しい思いをたくさんしてきたはずなのに、世間一般の「汚さ」みたいなものには触れずに生きてきた、その魂の、純粋さとでも言えばいいのかな。そういうのがスホさん自身の清らかさと相まって、グインプレンそのものになっていたような気がします。前回のルドルフ皇太子が厭世感バリバリのお人だったから余計に(でも酔い潰れて自殺未遂するのも本当最高だったよね)。 

スホさん演じるグインプレンが、デアのことを心の底から大切に思ってるっていうのがすごい伝わってくるのがちょ~~~よくて、頼むから幸せになってほしかった(過去形なのは察してください)。デアは盲目で、かつ心臓が弱いので、後ろから叩いたり急に驚かせたりする行為は絶対に駄目。彼女をからかうデイビット卿はそんなことおかまいなしでデアを驚かせ、怯えさせます。その一方でグインプレンは常に彼女にそっと寄り添い、後ろから支え、ときに手をひき、ダンスを踊るんですよ…。デイビット卿の行為はわざとだとは思うんですが、彼がいるから余計にグインプレンの優しさが感じられ、その対比がありがたい。本当にどのシーンでもグインプレンのデアを見つめる瞳が優しくて優しくて…。監獄に連れて行かれるシーン、今送り届けたばかりのデアに危害が及ばないよう、そっと彼女の部屋の扉を閉めるの、どこまでも優しくて泣いた。

 

グインプレン以外ではジョシアナがすごくよかった!私が見た回のジョシアナ役、シン・ヨンスクさんだったのですが、ラストキスでは伯爵夫人を演じられていたみたいで!ラストキスのときもすご~~~くよくて伯爵夫人のことめちゃくちゃ好きになったので、今回またその歌声を聴けて本当に嬉しかったです。ヨンスクさんの歌声はすごく力強くて、ああ、ミュージカルを観に来てるな~!と思わせてくれる。これからもスホさんと共演してくれるといいなあ。

曲も全部良いんですが、私がとくに好きだったのはDrown your tears。こういう曲調の歌を聴くと無条件で泣きたくなる。このシーンもね、めちゃくちゃいいんですよ。舞台上に川べりが再現されて、女たちが水辺で無邪気にはしゃぐのがかわいい。この曲はプレスコールでも披露されて、Vアプリのミュージカルチャンネルで無料で見られるのでぜひ。

 

そろそろスホさん本人の話してもいいですか?します。

見終わったあとはもう、とにかくすごくて、胸がいっぱいで、なんて人を推してるんだろう私は…!!!という感情になりました。本当にすごい。この人、1年前にはミュージカルの舞台に立ったこともなかったんですよ。信じられますか?あんなに忙しいのに、日本にだって何回も来てくれているのに、いつこんなものを準備したんだろう。本当に信じられないくらい歌がうまかった。前回よりもさらに迫力が増していた。

ラストキスのときって、正直結構いろいろあったじゃないですか。12月にはジョンヒョンのことがあり、年が明けてからは体調がすこし不安定で。見てるこっちもハラハラするような部分が、正直、あった(それでもスホさんは最高のものを届けてくれたし、もちろん私はそれを見て満足したというのは大前提ですが)。今回は本当に、100%かそれ以上のキム・ジュンミョンを見せてもらったような気がします。身の内から溢れ出る演技への欲求、溢れ出て止まらない歌声、その迫力たるや。本当に凄まじかった。

努力の域が違うというか、どうしたらこの領域まで到達できるのか全然わかりません。いっそ恐怖すら感じる。けれどそれ以上に誇らしいとも思うし、好きだなあとも思う。こんなにすごいものを見せてくれて、ありがたいし、私もがんばりたい。素直にそう思いました。

帰りの地下鉄で考えていたのは、こんなにすごいものを見せくれたんだから、私もがんばらなくちゃな、ということで。それってスホさんがいろんなところで発言している、「ファンに肯定的な影響力を与えたい」ていう、それなんですよね。スホさんの尋常じゃない努力の結果を見て、感動して、私もやらなきゃって思った。それってすごくないですか。自分で言うのもなんですけど、隣国の、言葉も通じない小娘も、しっかり「肯定的な影響」を貰ってるんですよ。あー、本人に伝えたいな、生きる力を貰ってますよって。たぶんスホペンみんな同じこと思ってるだろうな。

あとはもうキリがないんで簡潔に行きますね。朗々と歌い上げたあと、観客席に向かってドヤーッするのがかわいくてかっこよくてよかった。貴族のフカフカのベッドで大はしゃぎするのも超かわいいし、そのあとの生着替えは一周回って直視できなかった。貴族院で金の薄い布で口元の傷を覆っていたの、逆に色気出ちゃって妖しいからやめなって思った。最後のシーン、びっくりするくらい悲しくて美しくて涙が出た。今度こそ幸せになってほしかった。

 

これたぶん前も言ったけど、本当に出会えてよかったなあと思います。スホさんのファンにならなければこういうミュージカルと一生縁がなかったわけで、こういう胸を揺さぶる感動を味わうこともなかったわけで。スホさんと出会えた自分、前世でものすごい徳積んだのかもな。

ちょっと私にしてはびっくりするくらい長くなってて引きました。

もしここまで読んでくれた方がいたら、ありがとうございました。